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資金繰りの失敗を防ぐ7つの鉄則(2)

【資金繰りの失敗を防ぐ7つの鉄則】

ここにまとめた「鉄則」は、私が資金繰りの最前線の現場で、実際に体験したことに基づいています。

誰かの本を読んだり、人から聞いた話の受け売りではありません。

本当は7つどころではないのですが、紙面の都合で今回はここまでにします。

思いつくままランダムに並べたもので、体系的に整理されたものではありません。

補足すべきことも多いと思いますが、いずれ増補版等で補足できればと思っています。

本屋さんに行くと、資金繰りや資金調達に関する本がたくさん並んでいます。

内容は似たりよったりで、資金繰りに関する、教科書的な原則論を書いてあるものが多いようです。

たとえば、多くの本に

「向こう半年から1年間の資金繰表を作りましょう」

「支払いの優先順位を決めましょう」

「支払いサイトはより長く、入金サイトはより短くしてもらうように交渉しましょう」

などと書かれています。

中小企業の社長の皆さんは、これを見てどう思われますか?

「現実がわかってないねえ・・・」

「何を今さら。そんなこととっくにやってるよ」

「それができれば苦労しないよ。現場を知らない人はこれだからね」

いろんな声が聞こえてきそうです。

もちろん、書いてあることは、どれも正しいことばかりです。

言ってみれば「基本原則」のようなもので、それらを各企業がどう取捨選択し、それぞれの会社の実情に合わせてアレンジするか、というところが一番難しいのですが、このレポートで教科書解説のようなことをしても面白くありませんので、このレポートには、市販の書籍等に書いてあるような「基本原則」は、あえてのせていません。

そもそも資金繰りというものは、それぞれ異なる事情や背景を持つ各社が、1社ごとに、自社の様々な諸事情を踏まえて組み立てるもので、すべての会社にあてはまる、普遍的なルールなどあるはずかないのです。

たとえば、どの本にも「人件費の支払は最優先で」と書いてありますが、実際の資金繰りの現場では、「管理職の給与は遅配とし、重要仕入先A社の支払いを優先する」というような判断をするケースも、現実には多いのです。

しかしそれを「支払の優先順位を間違っている」と非難することはできません。

置かれている状況や抱えている問題は、各社ごとに異なるのですから、資金繰りのやり方も各社ごとに異なって当然なのです。

ですから、このレポートに関しても「もっと大事なことが抜けてるじゃないか」と思われる点があるかもしれませんが、「大事なこと」は各社ごとに異なるということをご理解の上、お読みいただければと思います。

 

【鉄則0】『最悪の事態に備える』という視点で判断する

『備えあれば憂いなし』という言葉がありますが、これは資金繰り対策にもそのままあてはまります。

会社経営は順調な時ばかりではありません。

「リーマンショック」の時の経済の混乱ぶりを思い出してみてください。

あの時は、大企業から中小零細企業に至るまで、売上高が激減する企業が続出しました。

大手でも売上高が激減したところは珍しくなく、売上高が7~8割も減少し「これではとてもやっていけないので廃業するしかない」という 中小企業の社長のインタビューなどがよく報道されていました。

私自身は、会社を経営していた当時「バブル崩壊」の直撃を受けましたが、「リーマンショック」の時と同じように、売上が、あれよあれよという間にみるみる下がり、わずか数ヶ月で売上が半減する、という経験をしました。

世の中何が起きるかわからないのです。

いつ起きるかわからない大震災に備えて「防災対策」をするのと同じで、企業も、経営が悪化した時を想定した『万一の備え』は欠かせません。

経営体力が弱い中小企業においてはなおさらです。

「大震災」が起きてからでは遅いのです。

経営が順調な時から『最悪の事態に備える』という意識を持って、対策を積み重ねることが大切です。

このレポートの「鉄則」は、そのような視点でまとめたものです。

 

【鉄則1】1行取引は超危険!

「1行取引と複数行取引はどちらがよいのですか?」という質問は、意外と多い質問です。

『最悪の事態に備える』という視点で考えれば答は明らかで、

「1行取引はありえない!」

ということになります。

銀行借入をしようと思った時、もし1行しかない取引銀行に断られてしまったら、一体どうするつもりでしょうか?

ところが、中小企業の社長の中には、こんな風に言う方が少なからずいます。

「うちは、歴代支店長や担当者とうまくやってきてるから、融資を断られることはないよ」

「1行取引の方が、銀行側も取引に力が入り、しっかりした支援態勢を整えてくれるはずだから、複数行取引よりもかえって安心なんじゃないか」

「1行取引であれば、銀行側も自行で面倒を見なければ、という責任感が出てくるから、万一何か非常事態が起きても、きっと助けてくれるはずだ」

このコメントを見て、「自分も同感だ」と思った社長さん!

あなたの感覚は、かなり危険です!!

残念ながら、こうした考え方は、今ではほとんど通用しなくなってしまいました。

かつては銀行と企業の関係は今よりもっと人間臭く、銀行にも「名物支店長」と言われるような人がいて、業績に問題がある企業でも、経営者の「人物」を評価して支援する、という良き時代がありました。

しかし現在は、「銀行融資は決算書次第」という時代になりました。

経営者の人物や事業の将来性など、「定性要因」と言われる評価要素は比重が大幅に下がり、決算書を中心とする「定量要因」と言われる要素が、融資の主要な判断材料になったのです。

ですから、銀行との人間関係を勝手に過大評価して銀行の支援を期待しても、貴社の決算内容次第で、その期待は見事に裏切られることになるでしょう。

さらに、金融機関は融資スタンスが突然変わることがありますから注意が必要です。

「君子は豹変(ひょうへん)する」という言葉がありますが、銀行も豹変することがあるのです。

私が「銀行の豹変」を経験したのは、バブル崩壊に伴い、金融機関に大量の不良債権が発生した時期でした。

それまでさんざん「借りてくれ」と熱心に営業に来ていた銀行が、文字通り手のひらを返したように「追加融資は難しい」と言い出したので、「よくここまで変われるもんだ」と、あっけにとられたのを覚えています。

ただ、あの時は、ほぼすべての金融機関が貸出どころではなくなり、我先にと回収に走り出した時期でしたから、背景がわかりやすいと言えばわかりやすく、資金繰り的には非常に困りましたが、銀行に対する「恨みつらみ」といった感情はありませんでした。

金融機関が融資スタンスを変えるのは、「バブル崩壊」や「リーマンショック」というような大きな経済的要因がある時ばかりではありません。

「支店長(部店長)の異動」「担当者の異動」「自社業界での大型倒産」「自社取引先の倒産」等様々なきっかけで、金融機関の態度が微妙に変わった、という経験をお持ちの社長は少なくないと思います。

しかも、金融機関側がそうした背景を説明することはまずありませんから、「最近銀行の態度がよそよそしいけど、どうしてだろう?」と、社長が一人で思い悩んでしまうことになるのです。

このような時でも、複数行と取引していれば、今まで良好だったA銀行の融資姿勢が消極姿勢に変わっても、すぐにB銀行との折衝に入れるわけで、複数行取引の方が、資金調達の安全性がはるかに高いと言えます。

これは銀行取引に限ったことではありませんが、どんなことでも、選択肢は多ければ多いほど良い、ということです。

 

【鉄則2】銀行口座は分散する

【鉄則1】で、「1行取引は超危険!」と述べましたが、融資は複数行から受けていても、日常の資金の出入りはメインバンクに集中させている、という会社は少なくないと思います。

理由はどこも同じようです。

「1つの口座で管理した方が、管理しやすいから」

「資金の流れがわかるので、銀行が安心するから」

「銀行から言われたからそうしている」 といったところでしょうか。

しかし、『最悪の事態に備える』という視点で考えた場合、これは大変危険な状態です。

「最悪の事態」というのは非常事態で、日常では想像もつかない問題に直面します。

私がサポートした企業(A社と呼びます)で、こんなケースがありました。

A社は、年商4億5千万円ほどの繊維系商社で、支払いも入金も手形取引が中心でした。

繊維業界というのは、入れ替わりが結構多い業界なのですが、安定した経営状態と思われていた取引先が突然破綻して入金予定が狂い、月末の支払手形決済日に、確実に資金ショートが起きる、という事態に陥りました。

A社社長は、手形の不渡りだけは回避しなければと思い、支手決済額ぎりぎりの現金を手当したのですが、ここで難しい問題に直面しました。

A社は、ほぼすべての入金・支払いを、メインバンクの当座預金で行っていたため、支手決済日に、同じ当座預金の口座から、借入返済分と、リース料等の自動引落分が引き落とされてしまうので、支手決済額相当の現金を入金したとしても、それが手形決済に充当されるかどうかがわからなかったのです。

わかりやすく、数字で表してみます。

①支手決済額:800万円

②支手決済日に引き落とされる借入返済額:260万円

③支手決済日に引き落とされるリース料等自動引落額:30万円

 

④支手決済日前日の当座預金残高:300万円

⑤A社社長が手当した現金:500万円

 

つまり、A社社長は、④+⑤の800万円で、①の支払手形800万円を決済しようと考えたのですが、②の借入返済や③の自動引落があるのに、手形だけを優先的に決済できるのか、という問題に直面したのです。

結論だけ申し上げると、銀行とのハードな交渉は覚悟しなければなりませんが、このようなケースでも手形だけを決済する方法はあり、実際にA社は無事に手形決済を済ませました。

その方法の詳細は別の機会に譲りますが、ここで申し上げたかったのは、A社の場合でも、支手決済口座と、返済口座、自動引落口座がそれぞれ別になっていれば、優先順位の高い口座から入金していけば良いわけで、何の問題もなかった、ということです。

防災対策と同じで、危機が目の前に現れないと、なかなか行動に移すことはできないものですが、いつも『最悪の事態に備える』という意識を持って、万一の備えを怠らないようにすれば、A社のような突発的事態が起きても、余裕を持って対処できるということです。

 

【鉄則3】社長が「資金繰り担当者」になってはいけない

中小企業のほとんどは、「資金繰り担当者」は社長です。

そして、「社長が一人で資金繰りに孤軍奮闘する」というケースが大半です。

社内に経理担当者がいても、入金予定表や支払予定表等の資料を作成するだけで、資金が足りるのか、足りなければどうするのか、
ということは、社長が一人で考え、対処する、という会社が多いのではないでしょうか?

相当の企業規模にならないと、社内に財務担当者など置けませんから、これはやむを得ないことなのかもしれません。

ですがその場合、資金繰りが問題なく回っている時はそれで良くても、資金繰りが苦しくなってくると、社長一人で資金繰りの負担をかかえこむことになってしまいます。

社長が一人で資金繰りを担当するという状況には、なかなか辛いものがあります。

「資金繰りをする」と一口に言っても、実際にやることは、すべて交渉ごとです。

どんな交渉かと言えば、「取引銀行との借入交渉」「新しい資金調達先の開拓と借入交渉」「取引銀行との返済猶予交渉」「仕入先との支払延期交渉」「手形ジャンプ依頼交渉」「税務署との分割納付交渉」等「できればやりたくない」という、ハードなものばかりです。

これらを、社長が「資金繰りの実務担当者」として、最前線に立ってやるとしたら、その負担は はかり知れないものがあります。

ただでさえ精神的負担の大きい難しい交渉なのに、露骨に嫌な顔をされたり、相手が怒って罵られたりしたら、それだけで心が折れてしまい、投げ出したくなってしまうかもしれません。

しかも社長には最終決定権があります。

相手がこちらの足下を見て不利な条件を突きつけ、その場で返答するように迫られた時でも逃げ場がなく、不利な条件を飲まざるを得なくなることもあるでしょう。

ところがここで、社長以外の実務担当者がいれば「私の一存では決めかねますので、いったん持ち帰って上の者と相談します」と、かわすことができます。

どんな交渉ごとでもそうですが、最前線の交渉は社長以外の実務担当者が担当して交渉の地ならしをし、社長は節目節目で顔を出したり、交渉の最終局面で登場した方が、交渉を有利に進められるというものです。

ここまで読んで、こんな風に思った方が多いかもしれません。

「資金繰りの交渉ができる社員なんかいないよ」

「そんな人間どうやって探せばいいんだよ」

「仮に見つかっても、給料が払いきれないんじゃないか」

確かにそうかもしれません。

一番手っ取り早いのは、経理担当者がいれば、まずは経理担当者に資金繰り交渉も担当させることです。

もし、経理担当者はいるが「経理事務員」にすぎず、銀行交渉などとても無理ということだったり、経理担当者が資金繰りの前面に立つのを嫌がるようなら(こういう経理マンは結構多い)、資金繰り交渉ができるスタッフへの差し替えを考えるべきでしょう。

経理担当者が社長夫人や社長の親族だったり、古参社員で差し替えるに忍びない、という場合は、資金繰りの現場経験がある経営コンサルタントを起用し、「資金繰りブレーン兼実務担当者」として活用するのも一つの方法です。

「なんだ、結局宣伝かよ」と思うのは、早合点というものです。

私が社長だった当時、私は金融機関出身の経理部長がいるにもかかわらず、「資金繰り担当者」として資金繰りの最前線で孤軍奮闘していました。

すべての交渉を一人でやっていたので、大きな精神的重圧の中で、次から次へと難しい判断を迫られ、「窓口となる担当者がいればどれほど助かることか」といつも考えていました。

金融機関出身にもかかわらず、資金繰りの矢面に立つのを避けようとする経理部長を交代させることも考え、後任者を捜してみましたが、「専門家」と言われている人達も含めて、資金繰り経験のある適任者を見つけることができませんでした。

もし当時、資金繰り経験豊富な経営コンサルタントに出会えていたら、どれほど力になってもらえたかわからない、という思いから、このレポートをお読みいただいている経営者の皆さんにも、コンサルタントの活用も選択肢の一つだとお伝えしているのです。

1人は「1人力」でしかありませんが、2人でタッグを組めば、3人力以上の力を発揮することも可能です。

社長以外の担当者がいれば、その担当者を盾にしたり、担当者と役割分担をしたりしながら、厳しい交渉を乗り切ることも可能になります。

社長が資金繰りで疲労困ぱいし、冷静な判断ができなくなる事態を防ぐためにも、社長自身が「資金繰り担当者」になることは、どうしても避けなければならないのです。 

 

【鉄則4】決算を会計事務所まかせにしない

コンサルティングファームで資金繰りサポートを担当していた時、私がサポートした先に、こんな会社がありました。

その会社は、年商10億円超の流通関連企業でしたが、直近の決算書は、営業赤字になっていました。

「営業赤字」って、どれくらいの赤字だったと思いますか?

 

なんと・・・・・「60万円」。

600万円ではありません。

営業赤字と言っても、たったの「60万円」だったのです。

しかもその会社には、営業外収益が800万円あり、内容を精査してみると、そのうちの6割は、売上と見なしても差しつかえないものでした。

つまり、営業外収益の6割・480万円を売上高に振り替えれば、420万円の営業黒字だったのに、何の対策を講ずることもなく、営業赤字の決算を組んでしまったのです。

その会社は、最初は関連企業の事業展開に関する相談でお見えになったのですが、資金調達がうまくいかないという相談を受けて私が財務部長に就任し、資金繰りのサポートをすることになったのです。

決算書を見て、私は開口一番、社長にこう尋ねました。

「60万円の営業赤字ですか・・・これ、どうにかできなかったんですか?」

すると、少し困惑した表情を浮かべながら、社長は私にこう言ったのです。

「決算はすべて会計事務所に任せてあるから、私はよくわからないんですよ。 営業赤字ってそんなにまずいんですか?」

そう、その社長は、経理はすべて会計事務所に「お任せ」で、営業赤字の意味すらよくわかっていなかったのです。

その社長は営業畑の方で、持ち前の営業力を発揮して一代で10億円企業を築いたのですが、経理面は、創業以来 全幅の信頼を寄せていた会計事務所に、すべて任せていました。

私の予想通り、会計事務所も、決算書が営業赤字では資金調達に不都合が生じる、という認識は全く持っていませんでした。

会計事務所の所長(税理士)に、金融機関対策を考慮した決算書づくりについて説明したのですが、私の話を聞き終わると、その税理士先生はこう言いました。

「ウチの顧問先は優良企業ばかりで、いつも節税対策ばかりやっているので、金融機関対策を考えた決算書づくりという発想がありませんでした。通常の会計処理をしていったら営業赤字になったということで、それが問題になるとは思わなかったけれど、確かに水口さんの説明を聞くと、黒字にするべきでしたねえ・・・今日は大変良い勉強になりました」

そして社長に向かって「社長!水口さんみたいな良い人に来てもらってよかったね。これでお宅も安泰だわ。ガハハハ!!!」と脳天気に笑いながら帰って行きました。

経営者も顧問税理士も、避けられたはずの「営業赤字」を問題と思うこともなく決算を組んでしまう・・・・恐ろしいことです。

この「営業赤字」の影響は少なくなく、借入交渉をした金融機関の反応は散々なものでした。

既存取引先の大手A銀行は、担当者が、商社マンタイプの好青年でしたが、極めて率直にこう言っていました。

「水口さん、この60万の営業赤字ってどうにかできたんじゃないですか。僕も数字がほしいから、なんとか融資をしたいんだけど、営業赤字じゃ稟議が書けないですよ。これ位の金額ならどうにでもなっただろうに、少しでも黒字にしといてくれれば、僕にとっても有り難かったのになあ・・・」

大手B銀行は新人の担当者でしたが、こちらからの融資の申し込みを「持ち帰って検討します」と言ったきり、連絡がありませんでした。

進捗状況の確認のために何度か電話をしても、あいまいな回答ばかりなので、「やるのかやらないのかハッキリしてくれ」と少しきつめに言ったら、 「融資課長が会って話したいと言っているので来てくれませんか」との連絡。

「来てくれ」という時は、悪い話の場合が多いのですが、案の定大変厳しい話になりました。

その課長は、とてもストレートな物言いをする方で、「金額の大小に関係なく、営業赤字の会社に融資なんてできませんよ」と、ズバッと言われました。

私が営業外収益の内訳の説明をして「実態としては営業赤字ではない」と力説しても、「後から言い訳をしなければならないような決算書を持ってこないでください」との厳しい指摘。

指摘そのものはごもっともなので、認めるべきところは認めつつ交渉を重ね、申込金額3千万円全額が否決になるところを半分押し戻し、最終的に1千5百万円の融資が実行されましたが、それも「しぶしぶ実行」という状態でした。

『最悪の事態に備える』という視点で考えた時、資金調達を考慮した決算書づくりは極めて重要です。

ですから、決算は、決して会計事務所任せにしてはいけません。

このレポートの前段でも述べたように、税理士は「税務」の専門家なのであって、資金繰りや資金調達の専門家ではないのです。

 

【鉄則5】金融機関に 資金繰りの相談をしない

「はあ?何バカなこと言ってんの?」と思いましたか?

ちょっと逆説的な言い方をしてしまいましたが、言いたかったことは、「資金繰りが苦しい」という言い方を金融機関にしてはいけない、ということです。

このレポートの冒頭で、「資金繰りが苦しくなったら誰に相談しますか?」という問いかけをしましたが、実際に聞いてみると、「金融機関に相談する」という社長が案外多いのです。

「ウチは金融機関には一切隠し事をせずに何でも相談してる」と自慢げに話す社長に時々お目にかかりますが、『最悪の事態に備える』という視点で考えた時、これは余りにも無防備と言わざるをえません。

貴社に融資をしている金融機関の最大の関心事は何だと思いますか?

貴社の成長を手助けすることでしょうか?

貴社の経営者や従業員の生活を守ることでしょうか?

 

金融機関の最大の関心事は、「貸付金が回収できるか」という一点にあります。

銀行を揶揄(やゆ)して「銀行は雨が降ったら傘を取り上げる」とよく言われますが、この言葉は、金融機関の本質を端的に表しています。

「貸付金が回収不能になるおそれがある」と金融機関が判断すれば、それまでどれほど親密な関係を築いていると思っていても(多くの場合、会社側が一方的にそう思っているに過ぎないことが多いのですが)文字通り手のひらを返したように態度が変わります。(これは、実際に経験してみないと理解できないと思いますが・・・)

そもそも銀行自体が、取引先と親密な関係になるのを防ぐために、支店長や担当者を2~3年という短いサイクルで異動させている位ですから、銀行と太い人間関係を築けば、何かあっても助けてくれるだろう、というような甘い考えは持つべきではありません。

以前、「資金繰りが苦しくなったら金融機関に相談する」と言っていた社長が、銀行に融資の申込みをするというので、同行したことがあります。

その社長は挨拶もそこそこに、こう言ったのです。

「ここんとこ売上がパッとしなくさあ、このままだと首が回らなくなっちゃうから、お宅の銀行になんとかしてもらおうと思ってんだよ。
いつも積立とか給与振込とかいろいろつきあってんだから、なんとかしてくれるよね?」

私は「これはほとんど恫喝(どうかつ)だなあ」と思いながら聞いていましたが、「資金繰りが苦しくなったら金融機関に相談する」と言う社長は、「お宅が融資しなきゃ潰れるぞ」とすごめば、金融機関が融資をしてくれる、と勘違いしているタイプが多いような気がします。

金融機関が融資をするかどうかの判断基準は、つきつめて言ってしまえば、「貸したお金が返ってくるか」ということに尽きます。

決算書の分析をしたり、事業計画書から経営力を推しはかったり、担保調査をしたりして、様々な角度から「貸付金が確実に回収できるか」を判断して、融資の可否を決めているのです。

ですから、「融資を受けなければ首が回らなくなる」ような会社や、「このままでは潰れてしまう」などど言っている会社には、融資は絶対にしないと思っていてください。

もちろん、「前向きな資金相談」であれば、自社PRの絶好の機会ですから、積極的に取り組むべきなのは言うまでもありません。

金融機関に対して「資金繰りが苦しいから助けてくれ」という相談は、「御法度(ごはっと)」だということを、しっかり頭に入れておいてください。

 

【鉄則6】帝国データバンク・東京商工リサーチのデータ整備

経営者の皆さんは、「帝国データバンク」や「東京商工リサーチ」の、自分の会社の「信用調査報告書」を見たことがありますか?

私の知る限り、「見たことがない」という経営者の方が圧倒的に多いですが、こうした信用情報の中で、特に「帝国データバンク」の信用情報は、金融機関対策には重要です。

手形取引が多い業界の方はご存じと思いますが、金融機関が手形の割引をする際、取扱える手形は、帝国データバンクの評点○○点以上 と基準を設定している金融機関も少なくありません。

帝国データバンクの評点は、中小企業の場合、40点台の会社が多いようですが、50点台であれば合格点と思ってよいでしょう。

50点台でも、55点以上はかなりの高評価と思ってよく、60点以上であれば相当の優良企業です。(私の印象では、55点以上の企業はとても少ないようです)

50点台前半でも、50点と51点の差は、実際の点差以上に大きいと言われていますから、できれば、自社の評点は、51点以上はほしいところです。

経営者の皆さんは、自分の会社の、帝国データバンクの評点をご存じですか?

「ウチの会社は何点なんだろう?」と気になりませんか?

自分の会社の評点くらいは知っておくべきかもしれませんね。

もし、自分の会社の評点を知りたかったら、弊所ホームページの「お問合せフォーム」からお問合せください。

弊所で貴社の情報が確認できる場合は、貴社の評点を確認し、無料でお知らせします。

さて、この「鉄則6」のタイトルは「帝国データバンク・東京商工リサーチのデータ整備」となっていますが、「データ整備」とは一体どういうことでしょうか。

この「データ整備」とは、自社の「信用調査報告書」の内容を確認し、内容に不備がある場合は、真正な内容に修正することです。

「でも、帝国データバンクや東京商工リサーチのデータを勝手に修正するなんて、できないんじゃないの?」

 もちろんその通りです。勝手に修正するなんて絶対にできません。

ただ、登録されている内容に不都合がある場合、内容を修正する方法はあります。(違法な裏ワザ等ではありません)

ここでは、その方法の詳細については述べませんが、帝国データバンクや東京商工リサーチの、自社の「信用調査報告書」の内容に不都合がある場合は、内容を修正した方が良い、ということを頭に入れておいてください。

この、信用情報の整備については、重要な事柄であるにもかかわらず、市販の書籍等で取り上げているものはほとんど見あたらなかったので、あえて本レポートで取り上げた次第です。 

 

【鉄則7】資金繰りは「かもしれない運転」で

 運転免許証の更新の際、「更新時講習」を受講したことがある方は多いと思います。

私も何度も行っていますが、講習の中で、必ずと言って良いほど出てくるのが、「だろう運転」と「かもしれない運転」です。

「だろう運転」というのは、
「対向車は来ないだろう」
「歩行者はいないだろう」
「相手が譲ってくれるだろう」

などの楽観的な予測にもとづいて運転するため、危険に気付くのが遅れて事故につながる可能性が高い、危険な運転のことです。

一方、「かもしれない運転」は、

「対向車が来るかもしれない」
「歩行者が飛び出すかもしれない」
「相手が譲らないかもしれない」

という具合に、あらかじめ危険を予測し事故を回避しようとする、慎重な運転のことです。

この「だろう運転」と「かもしれない運転」の考え方は、資金繰りにもそのまま当てはまります。

「資金繰りがきつくなってきたが、なんとか回せるだろう」と楽観的に考えるのではなく、
「資金繰りがきつくなってきたが、このままでは資金ショートを起こすかもしれない」と慎重に考え、早めに手を打つべきなのです。

「資金繰りの失敗」は「倒産」に直結します。

資金繰りに問題が起きた時、早めであればあるほど、打てる手も多いですが、逆に時間がたてばたつほど、選択肢は少なくなっていきます。

もし今、あなたが資金繰りで問題を抱えているなら、今すぐご連絡ください。

迷っているうちに時間はどんどん過ぎていき、選択肢はどんどん狭まります。

さんざん迷った末に、ご連絡をいただいた時にはもう手遅れだった、ということにならないよう、今すぐ行動を起こしてください。

あなたが、私と同じような、辛く厳しい経験をしないですむように、全力であなたをサポートすることをお約束します。

資 金 財 務 研 究 所

代 表   水 口 雅 晴




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