資金繰りに失敗しない方法
本屋さんに行くと、資金繰りや資金調達に関する本がたくさん並んでいます。
内容は似たりよったりで、資金繰りに関する、教科書的な原則論を書いてあるものが多いようです。
たとえば、多くの本に
「向こう半年から1年間の資金繰表を作りましょう」
「支払いの優先順位を決めましょう」
「支払いサイトはより長く、入金サイトはより短くしてもらうように交渉しましょう」
などと書かれています。
中小企業の社長の皆さんは、これを見てどう思われますか?
「現実がわかってないねえ・・・」
「何を今さら。そんなこととっくにやってるよ」
「それができれば苦労しないよ。現場を知らない人はこれだからね」
いろんな声が聞こえてきそうです。
もちろん、書いてあることは、どれも正しいことばかりです。
言ってみれば「基本原則」のようなもので、それらを各企業がどう取捨選択し、それぞれの会社の実情に合わせてアレンジするか、というところが一番難しいのです。
そもそも資金繰りというものは、それぞれ異なる事情や背景を持つ各社が、1社ごとに、自社の様々な諸事情を踏まえて組み立てるもので、すべての会社にあてはまる、普遍的なルールなどあるはずかないのです。
たとえば、どの本にも「人件費の支払は最優先で」と書いてありますが、実際の資金繰りの現場では、「管理職の給与は遅配とし、重要仕入先A社の支払いを優先する」というような判断をするケースも、現実には多いのです。
しかしそれを「支払の優先順位を間違っている」と非難することはできません。
置かれている状況や抱えている問題は、各社ごとに異なるのですから、資金繰りのやり方も各社ごとに異なって当然なのです。
私達の「資金繰総合サポート」というサポート業務も、この視点に立って各社の実情を十分に把握した上で、資金繰りを組み立てています。
ただ、1点だけ共通して言えることがあります。
それは、「資金繰りのポイントは支出にある」ということです。
資金繰りがショートしそうになると、多くの社長は不足資金を確保しようと資金調達に走ります。
もちろん、それはそれで間違ってはいないのですが、より上策なのは「支出の抑制」です。
不確実な資金調達より、支出を抑える方が、資金繰りの組み立て方としては安全度が高いからです。
多くの社長は資金繰りを考える時、どこかから資金を引っ張れないか、と考えますが、資金繰りに失敗しない最大のポイントは、「どうやって支出を抑えるか」にあります。
ところが、「支出の抑制」は、口でいうほど簡単ではありません。
相手が誰であれ、支出先との利害が衝突するため困難を伴うことが多く、ハードな交渉を覚悟しなければならないので、社長も経理スタッフも避けようとする傾向が強いのです。
このような場面では、私達のようなコンサルタントを上手く活用することをお勧めします。
もちろん、コンサルタントと言っても、交渉力のある実務経験者でないと務まらない仕事ですが、担当者として支出先と折衝を重ね、安全な資金繰りに貢献する役割が期待できます。