銀行から借りられなくなったら?
ご相談者の中には、「銀行借入はリスケ済み」「決算書は債務超過」という方も少なくありません。
こういう状態になると、銀行からの追加融資は極めて難しくなります。
では、銀行借入はできないが、資金調達しないと資金繰りがもたない、という社長はどうしているのでしょうか。
このような状況になると、多くの社長は、個人借入に走ります。
まず手を付けるのは、銀行やクレジットカードのカードローンです。
個人のカードローンで借入れして会社の資金繰りに使うわけですが、それらの枠が一杯になると次は信販会社系のカードローンで資金を作ります。
こうして、利用できそうなカードローンを片っ端から使って行き、最後は消費者金融にたどり着くことになります。
ところがその頃には、借入上限を年収の3分の1までとする、改正貸金業法の総量規制の上限まで借入をしてしまっているため、消費者金融から借りたくても借りられないという、笑えない冗談のような事態に直面するケースも出てきます。
こうして、個人借入ができなくなると、次に向かうのは、「ノンバン ク」と呼ばれる、事業者向け金融会社です。
この「ノンバンク」と言われる業界には、かつては「商工ローン」と呼ばれた大手金融会社から「街(マチ)金」と呼ばれる中小金融業者まで、 雑多な貸金業者が軒を連ねていました。
ところが、改正貸金業法により貸出金利が大幅に抑制されたことから貸金業者の倒産・廃業が相次ぎ、業者数が10分の1以下に激減して現在に至っています。
ノンバンクは審査基準が銀行と大きく異なるので、債務超過やリスケ中でも借入できるケースが多いですが、貸出基準は各社各様で、銀行の債務者区分のような統一された判断基準があるわけではありません。
これは逆に言えば、財務状態に問題を抱えている中小企業にとっても、資金調達のチャンスがあるということですが、外部からはわかりにくい部分があるので、利用するにはノンバンク業界に詳しい専門家の助言を求めた方が安全です。
また、業者数が減ったとはいえ玉石混交で、詐欺まがいのやり方をしている業者も混在していますから、利用には十分な注意が必要です。
さらに、ノンバンクは信用情報を重視しますから、社長がカードローンやキャッシングを多用していると、それがネックになって融資が否決されることもあります。
ですから、本当は個人のカードローンを使う前にノンバンクを利用する方が得策なのですが、多くの社長はそれを知らないので、手軽に使えるカードローンを先に使ってしまうのです。
さて、個人借入もノンバンクも使い切ってしまった社長がたどり着くのは「2社間ファクタリング」という、2010年前後から広まってきた金融手法です。
形式上は売掛債権の売買ですが、利用する側から見ると短期融資と何ら変わりはなく、1ヶ月程度の利用で調達額の20%以上の手数料がかかることも珍しくないため、これに手を出すと、いくら稼いでも追いつかないという状態に陥り、会社の寿命を一気に縮めることになります。
ですから、必要に迫られて「2社間ファクタリング」を使ったとしても、常時利用するような事態は避けるよう、資金繰りに知恵を絞る必要があります。
「現実はそんな簡単じゃないよ」という声が聞こえてきそうですが、多くの中小企業は社長が一人で資金繰りを考えているため固定観念にとらわれてしまい、「知恵」や「工夫」がなかなか出てこないのが実情です。
「2社間ファクタリング」に依存すると、財務内容は急速に悪化して行きますから、早急に何らかの手を打たないと会社の存続は望めません。
このような事態に陥ってしまったら、もはや独力で乗り切るのは困難なので、一日も早く専門家に相談し打開策を講じるべきでしょう。
資金繰りは、知恵と工夫の積み重ねで組み立てるものです。
資金繰りを一気に改善する手法はどんなものか、それは自社にも使えるのかというようなことは専門家の知恵や知識を借りるのが早道です。
資金繰りは、一人で考えるより相談相手がいた方が、新たな発想や発見が生まれる可能性が高くなりますから、社長と同じ経営者目線で資金繰りが考えられる相談相手を身近に置き、資金繰対策を複数の目線で検討することも効果的 です。
私達は、そうしたお手伝いをしています。